-Summer Glass-
Official Music Video
ある世界に、夏の間だけ現れるという不思議な楽園があった。
そこへ続く道は地図には記されていない。
青い海の向こうにも、
深い森の奥にも、
賑やかな街の果てにも、
その場所へ辿り着くための門はない。
けれど夏の風が吹く頃、
どこからともなくひとつの音が聞こえてくる。
その音に誰かが旋律を重ね、
また遠く離れた場所から、別の誰かが声を重ねる。
一つ、また一つ。
世界のあちこちで生まれた音が灯り、
やがてそれらがひとつに重なったとき――
そこには、誰も見たことのない夏の異世界が姿を現す。
空と海を隔てるのは、どこまでも続く蒼と白の境界線。
砂浜には駆け抜けた足跡が残り、
グラスに映り込んだ夏空は微炭酸の泡とともに弾けてゆく。
夕暮れの向こうでは星空が夜を待ち、
陽が沈めば、打ち上げ花火が大輪の花となって異世界の祭りを彩る。
歌え。
踊れ。
笑え。
ここでは誰もが、あの頃のように無邪気になっていい。
幼い日に感じた、夏休みが永遠に続くような感覚。
明日のことなど考えず、どこまでも走って行けると信じていた頃の心。
大人になるにつれて少しずつ遠ざかってしまった、あの眩しさ。
そんな忘れかけていた夏のファンタジーが、
この楽園にはまだ残っている。
けれど、どれほど願っても季節は巡る。
祭りの夜は明け、
花火は消え、
やがて夏の風にも秋の気配が混じり始める。
楽しかった夏ほど、
過ぎ去ったあとには小さな痛みを残してゆく。
「あの夏には、もう戻れない」
そう思いながら見上げた夜空には、
あの日と変わらず星が煌めいていた。
だから彼らは、
過ぎ去ってしまう夏を終わらせないことにした。
同じ場所にいなくてもいい。
同じ景色を、本当に見ていなくてもいい。
一つ、また一つと声を灯し、
それぞれが奏でる音をひとつの物語に閉じ込めれば、
離れた場所にいる者たちだって、同じ夏を描くことができる。
夜空に咲いた花をグラスに閉じ込めるように。
いつの日か振り返ったとき、
「僕等は確かに、あの夏を一緒に駆け抜けた」と笑えるように。
――「サマーグラス」は、
そんなひと夏の幻想を描いた物語。
この曲が生まれたのは、
五人の音楽家による新たな音楽が、同じ夏に一斉に世界へ放たれた季節だった。
五人が本当に同じ砂浜を走ったわけではない。
同じグラスを掲げたわけでも、
同じ夜空に咲く花火を見上げたわけでもない。
それでも、それぞれの場所から音を奏で、声を重ね、
ひとつの夏を音楽で彩った。
ならばきっと、
それも「みんなで夏を過ごした」と呼んでいい。
そして、この歌に描かれた楽園は五人だけのものではない。
大切な仲間と笑った人も。
家族と出かけた人も。
ひとり旅をした人も。
仕事ばかりで夏らしいことなんて何ひとつできなかった人も。
同じ夏空の下、それぞれの物語を生きていた。
過ぎ去ってしまえば、
もう二度と同じ夏はやってこない。
だからこそ、その一瞬をグラスに閉じ込めて。
いつか懐かしく思い出せるように。
そして季節が変わったなら、
今度は散りばめられた未来を掴みに行こう。
物語は、夏の終わりでは終わらない。
共に征こう。決して終わらない、Story of Summer Night!!
そして最後に、この歌を聴いてくれたあなたへ。
――みんな、素敵な夏したかい?

幻想の吟遊詩人。民族音楽×ヴィジュアル系×J-POPの幅広い音楽性と、高い物語性で聴く者を幻想世界へ誘う。1st Album「幻想紀行詩 -アリアステラ-」。